相続時精算課税と暦年課税の改正(その1)
令和6年1月1日以降の生前贈与に関する税制が大きく改正されました。
今回は改正後の制度の概要、次回は有利不利判定について記載したいと考えております。
暦年贈与に関しては、死亡前7年間は年間110万円以下の贈与に関して、相続税の計算を行う際に
相続財産に加算(当初4年間は合計で100万円控除)され、精算課税は7年間であっても相続財産に
加算されない事になりました。
今までの相続時精算課税は、将来値上がりする可能性がある、収益を生む不動産を、早い段階で
相続人に移転させる以外には、使い勝手が悪い制度でしたが、今回の改正で使い勝手が良くなり、
その一方で暦年贈与は使い勝手が悪くなりました。
それでは簡単に比較してみましょう。
項目 | 暦年課税 | 相続時精算課税 |
贈与者 | 制限なし | 60歳以上の父母または祖父母 |
受贈者 | 制限なし | 18歳以上の直系卑属の推定相続人・孫 |
基礎控除額 | 年間110万円 | 年間110万円 |
特別控除額 | なし | 累計2,500万円 |
税率 | 10%~55%の累進税率 | 一律20% |
非課税以下の申告義務 | 申告不要 | 申告不要 |
相続税に加算する金額 | 7年間(110万円以下も加算) | 過去贈与全て(110万円以下は加算不要) |
次回はおおまかな有利不利判定について、検討いきます。